実録!韓国の犬肉市場訪問記!釜山広域市「亀浦市場」でポシンタンを食ってきた

韓国

韓国では犬肉が食べられているのは周知の通りだが、現地では今なお犬食文化は旺盛で、特に男性が精力を付ける為に毎年夏の「三伏」と呼ばれる時節に犬肉を食べる習慣がある。それは日本人が土用の丑の日に鰻を食べる風習があるのと同じ感覚だ。

ソウル五輪の時に犬肉食文化が国際的な非難を浴びて、犬肉屋や屠畜場が五輪開催を名目に韓国の街角から排除されてしまったり、これまで「ケジャンクッ(犬醤汁)」などと「犬」のついた名前で呼ばれていたものが「ポシンタン(補身湯)」「ヨンヤンタン(栄養湯)」などと言い換えられ、韓国伝統の犬肉食はすっかり日陰者になっている。

韓国 釜山 亀浦市場

先日、韓国第二の都市・釜山を訪れる機会があったので、せっかくだから本場の犬肉鍋を食ってやろうと思って調べたら、地下鉄2・3号線の徳川(덕천)駅の近くにある亀浦市場で食えるという事を知った。チャガルチや南浦あたりからだと乗り継ぎしつつ片道40分くらい掛かる。

韓国 釜山 亀浦市場

駅を降りるとのっけから路上に食い物を陳列している婆さん達の露店がずらりと並んでいて大変生活臭に満ちた街並みとなっている。大阪の鶴橋をどうしても思い出してしまいそうになるが、駅徒歩3分くらいで亀浦市場(구포시장)の入口が見えてくる。

韓国 釜山 亀浦市場

亀浦市場は真新しいアーケードが設置されていて雰囲気は日本の商店街のそれに近いが、韓国の太極旗がズラーっと掲げられているあたり、やっぱり異国なんですねと実感させられる。釜山市内でも屈指の規模を誇る市場の一つで、まあとにかくでかい。

韓国 釜山 亀浦市場

釜山の中心市街地から離れている場所柄あまり観光客が来るような感じでもなく、ひたすら地元民が買い物に来ているような感じである。高麗人参専門店とかがあったりするのがお国柄ですよね。

韓国 釜山 亀浦市場

豚足だのキムチだの売られている店、それから日本統治時代の食文化の名残りとも言う釜山名物のおでん種を売る店がある。道行くおばさんはパンチパーマみたいなんばっかりだし、やっぱり大阪みたいですねここ…

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外食部門はカルグクス(칼국수)と書いてある、手打ちうどん屋がやたら多いのが下町仕様。店の前でひたすらうどんを打っているおばさんの姿がある。

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肉屋部門を見てみると、肉の陳列のされ方も日本とはどこか違っていて、豚の頭がそのまんま載っていたりするけど、我々が目的としている犬肉屋はどこにあるのだろうか、さっきから探し回ってるんですが。

韓国 釜山 亀浦市場

どこを見回してもオシャレ感皆無なのが居心地良い、釜山の下町商店街といった感じの亀浦市場ですが、問題の犬市場はかなり商店街の奥まったところにひっそりある訳でしてね…

韓国 釜山 亀浦市場

…あ、ありましたよ犬市場が…真新しい亀浦市場のアーケードを抜けた先にまるで隔離されたかのように存在していた。近年は欧米を中心とした動物愛護団体の非難を浴びていて店主達も観光客風の日本人が近づいてくるやいなや、こちらを見る目がどこか殺気立っている。迂闊にカメラを構えようものなら何をされるか分からない。

韓国 釜山 亀浦市場

店の看板にも、故意に塗りつぶしたのか知らんが「犬肉(개고기)」の「개」の部分だけ黄色いペンキでベチャッと隠している跡があったりして、得も言われぬものを感じてしまうのですが…なお、犬肉市場では同時に黒ヤギ(흑염소)を扱っている事も多い。韓国の中年以上の男性にとっては精力増強フードとして共に人気が高い食材である。

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そして多数の犬が閉じ込められた檻が市場の前にずらりと陳列されているのが見える。非常に生々しい光景だ。ペットショップにいる犬とは違い、訪問者に尻尾を振って愛嬌たっぷりに振る舞う事もなく、彼らは自らの運命を悟ったかのように、ただじっと檻の中で動じず座り込んでいる。

韓国 釜山 亀浦市場

しかしこれだけ毛並みや大きさが違う犬が混在していると、最初から食用犬として飼われている犬ばかりではなく、ペットとして飼いきれなくなったワンちゃんが持ち込まれてたりとか絶対あると思うんですよね。だって首輪はめたままの犬もいるし…

韓国 釜山 亀浦市場

ここ亀浦市場の犬肉市場では日本で言う所の土佐犬のような身なりの大型犬も非常に多い。当然ながらこの場で犬達は市場で捌かれ、韓国全土に点在する犬肉料理屋に卸される。あとは後ろ足だけがバラされて水に漬けてあったりとかですね、ビジュアル的にアレな光景が見られて、愛犬家は見るに堪えない画ばかりとなっております。

韓国 釜山 亀浦市場

しかし他国の食文化にケチを付けるほど野暮なものはないというものです。韓国でも犬肉の売買は表では禁止されているそうで一般的に流通するものではなく、犬市場の存在も法的にはグレーゾーンという事になっているらしい。それでも根強い食習慣が残っている中で簡単に全面禁止に踏み切れないお国柄があるんでしょう。

韓国 釜山 亀浦市場

…という訳で、わんこがいっぱい檻の中から視線を送るその向こうに新鮮な犬肉鍋が食べられるポシンタン専門店があるので入ってみる事にする。まるでカモフラージュの如く、犬ではなく「黒ヤギ」の写真が店の外側に飾られているが、でかでかと「보신탕」の三文字が入っているのでアホでも分かる。

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店内に入ると、そこは割と普通にある韓国の下町的大衆食堂のそれで、韓国語しか通じない事を除けば、我々のような観光客が入っても別にどうという事もない。店員のアジュンマはしきりに参鶏湯を薦めてくるが、改めてはっきり意思を込めて「ポシンタン!」と注文しておいた。

韓国 釜山 亀浦市場

そしてやってきた犬肉鍋…1人前小サイズ10000ウォン。円安のせいで割安感はないのだが、下町価格としてはこんなものか。手前に臓物入りのスユク(茹で肉)があるが、これも当然ながら犬肉である。きっと向かいの市場で捌いたばかりの新鮮な犬肉であろう。リアルタイムに犬の鳴き声がワンワン聞こえる中で食べるポシンタンのお味は…まあ悪くはないですね。それほど臭みもないですしね。

韓国 釜山 亀浦市場

現在、韓国名物のポシンタン屋は表通りには無く、こうした市場の奥でひっそり営業していたり、釜山ではワノルドンのようなアッチ系な盛り場に近い路地裏なんかに何軒か固まっている。日本でも新大久保とか三河島で食えるが結局は輸入の冷凍モノなので、新鮮な犬肉が食べられるのは韓国ならではの経験である。


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